CASE12 茨城県/大子町(簡易版)
医師会員仲間で在宅医療グループをつくり
かかりつけ医による訪問診療を支える
大子町のここがすごい!
○町内の医療機関が協力して地域医療の体制づくり
大子町には病院と診療所がそれぞれ3つずつしかなく、医師会員はわずか17名と小規模ながら、皆で協力して24時間の救急医療や在宅医療を推進
○ 茨城型地域包括ケアシステムを活用し在宅医療グループを結成
茨城県では2017年度から、訪問診療を病・医院が連携して行う「医療提供施設等グループ化推進事業」(茨城型地域包括ケアシステム)を開始。大子町の医師会(茨城県水郡医師会)は県内で最初にグループ化を達成
写真1◆保育園だった建物を活用している水郡医師会の外観。従業員は事務局長1名のみ。書類は郵送せず、会員医療機関を訪問して直接配るという
写真2◆正式名称「茨城縣水郡醫師会」の看板からは歴史と誇りが感じられる
写真3◆久慈川のほとりに建つ大子町役場
写真4◆水郡医師会の会長と、看護師長として、地域の情報を共有しながらさまざまな対策を一緒に考え、地域活動を実践している会長の長女
写真5◆医師会長が経営する有床診療所。1961年、町内初の病院として開業し、13年前からは有床診療所に転換。この病院・診療所に勤務したのち町内で開業した医師は複数
POINT!親戚や友人としての絆が連携の力に
大子町生まれの医師会長は、町内の他の医師と医師会仲間であると同時に子どもの頃からの友人関係にもあります。また、親戚や自らが仲人をした相手が医療・介護業界で働いているなど、多くの町民と強い絆で結ばれています。加えて、忘年会や新年会をはじめ各種行事には多くの医療職、介護職を集めて交流を図るなど、地域のネットワークづくりにも力を入れています。こうした中で仲間意識や信頼関係が育まれ、一体感ある活動につながっています。
写真6◆茨城県医師会が入っている茨城県メディカルセンター
写真7◆(右から)茨城型地域包括ケアシステム推進センターのセンター長でもあり介護支援専門員の資格も持つ茨城県医師会長と、2名の推進員
図1 地域で支え合う医療機関の連携体制を構築するために必要な3つの取組
1これから在宅医療への参入又は拡充に取り組む医療機関同士の連携強化を図るための取組
2在宅医療を提供する連携体制として必要な拠点機能を担う取組
3 在宅医療についての普及啓発活動等の取組
写真8◆水郡医師会の在宅医療グループで重要な役割を果たしている病院
POINT!地域の実情を熟知した看護師などが仲人役
県内の医師会には水郡医師会とは異なり地域の医療機関の連携関係が希薄な地域もあります。お互いに院長の顔も知らないケースさえあります。そこで茨城型地域包括ケアシステム推進センターでは、長く県内の病院に勤務し、地域連携に関する業務に携わった経験もある看護師などを推進員として採用しました。推進員が県の担当者と郡市医師会長を訪問し事業を説明。その後、その医師会の事務局を訪ねて情報を収集。さらに個々の医療機関を訪問して説明し、院長の医療への考え方なども考慮してグループ化を仲介します。こうした活動により初年度は12グループの立ち上げに成功。2年目も10グループ程度のとりまとめを目指しています。
地域DATA(大子町)
面積:325.76k㎡人口(2018年住民基本台帳):17,572人
高齢化率(2018年、65歳以上):42.71%
一般診療所数(2018年4月現在):3
病院数(2018年4月現在):3