CASE13 千葉県/匝瑳市(簡易版)
20年前に12名の在宅医仲間で手づくりした
「在宅患者24時間支援システム」をいまも継続
匝瑳市のここがすごい!
○「家にいたい」という患者の思いに応えて支える仕組みを手づくり
介護保険制度施行前、主治医不在中に在宅で亡くなった高齢女性のケースを機に、在宅医仲間で話し合い独自の支援システムを考案
○納得できるルールとフレキシブルな対応
連休の当番や緊急対応のルールを定める一方、自由裁量による対応も尊重。また医師の個人的関係も活かして現実的な支援を実践
○医師がコミュニティの一員として地域のお祭りなどでも活躍
在宅医には地元診療所の2代目、3代目が半数以上おり、お祭りなどのイベントでも活躍。地域を熟知し、日頃から職業や年齢を超えて活発に交流
図1◆スタート当時の「在宅患者24時間支援システム」の概要
図2◆2002年に構築し現在も運用している「在宅患者24時間支援システム」概要。現在は10の診療所(医師10人)がメンバーになっている
POINT!シンプルだからアナログ世代でも使いやすい
20年前とは時代も変わり、ICTはますます進歩していますが、同医師会のシステムは極力シンプルにし、いまもDBで共有する情報は診療情報など最小限にとどめています。たとえば訪問看護師やケアマネジャーからの連絡は専用シートに記入しファックスでやりとり。画像の登録などもできないようになっています。いくらでも搭載できる機能をあえて載せないことで、アナログ世代の医師でも使いやすくしているのです。なお、担当理事は現在60歳。数年前に1人の40代医師が参入するまで在宅ケア委員会で最年少でした。
写真1◆在宅患者24時間支援システム担当理事が院長を務める診療所。明治時代から3代にわたり100年以上地域医療に取り組んでいる
図3◆1年間の実績例(2014年7月1日〜2015年6月30日)
POINT!組織が変化しても仕組みは旧来のまま継続
千葉県匝瑳市は2006年に旧八日市場市と野栄町が合併して誕生しました。これに伴い、旧匝瑳郡光町も入っていた「八日市場市匝瑳郡医師会」から同町の医師が抜け、2008年に「匝瑳医師会」に。さらに2016年には隣接する旭市の旭医師会と合併し、「旭匝瑳医師会」となりました。このように医師会組織は変化していますが、在宅患者24時間支援システムは変わらず継続。旭市民は基幹病院に主治医を持つ人が多いこともあり、システム統合は特に進めていません。
地域DATA(匝瑳市)
面積:101.52k㎡人口(2015年国勢調査):37,261人
高齢化率(2015年、65歳以上):32.00%
一般診療所数(2017年10月現在):22
病院数(2017年10月現在):3