CASE7 兵庫県/神戸市(簡易版)
市民啓発演劇で行政含め19職種が一体化
医師会と大学共催の医師向け在宅医療塾も定着
神戸市のここがすごい!
○劇仕立ての市民啓発を考案し住民の理解度アップに成功
地域の多職種が自分の職種役で出演する医療・介護演劇が地域の一大イベントに成長。シビアな現実も笑いとともに伝え、住民の理解度が大幅アップ
○ 演劇の稽古を通した一体感が地域包括ケアの土台に
演劇の稽古のために繰り返し集まることで多職種が自然に連携。区の職員や葬儀業者らまで仲間の輪が広がっている
○ 医師・医学生限定の実践的な在宅医療塾が定着
医師会と大学が共催する「神戸在宅医療塾」は、参加資格をあえて医師と医学生に絞ることで医師が本気で学べる場を実現
写真1◆演劇の一場面。救急隊、医師、看護師ともに本物。それぞれが自分の本職を演じながら、伝えたいことを一生懸命に伝える
写真2◆公演開始前の会場の様子。地域の一大イベントとなり毎回超満員
写真3◆終了後は劇づくりの参加者が全員集合
写真4◆「エナガの会」定例勉強会の様子。さまざまな職種が集まって、同じテーマで意見交換
POINT!非営利を打ち出すことで連携を容易に
エナガの会をNPO法人にしたのは、他の組織や団体と、より連携しやすくするためです。同会の活動が広く知られるようになり、垂水区はじめ行政や各種団体と一緒に活動したり、全国の医師会などからノウハウの提供を求められたりする機会が増えました。そこで会の位置づけ、特に非営利団体であることを明確に示すことにしたのです。
POINT!医師・医学生限定だからベテラン医師も参加しやすい
「神戸在宅医療塾」の参加資格は原則として医師と医学生のみ。このように対象を絞っている背景には、他の職種が一緒では医師は勉強しにくいという、医師の視点に立った配慮があります。テーマも「在宅における泌尿器疾患」「小児在宅医療」など、病院医療に携わってきた医師がこれまで触れてこなかった分野を積極的に取り上げ、実技も含めて指導しています。神戸市医師会員以外の医師も講師に招く、参加は興味や都合によって毎回自由など緩やかな運営も魅力。多職種合同の勉強会の多くは医師の参加が少ないといわれますが、同塾には毎回、開業医を中心に少なくとも約40名、多い回には80名以上の医師が参加しています。授業料は500円/回。
写真5◆神戸在宅医療塾の会場となっている神戸大学附属地域医療活性化センター
地域DATA(神戸市)
面積:557.03k㎡人口(2015年国勢調査):1,537,272人
高齢化率(2015年、65歳以上):27.10%
一般診療所数(2017年10月現在):1,429
病院数(2017年10月現在):110